レブロン・ジェームズ選手
33,364得点を達成
レブロン・ジェームズ選手にとってコービー選手の背中がやっと徐々に見えてきました。2003年に高校からNBAに入ったレブロン選手は、先輩で同じく高校からNBA入りしたコービー選手の事を今まで常に意識せざる終えなかったでしょう。多くのメディアから日々コービー選手の存在と比べられるレブロン選手にとってコービー選手は良き先輩であり最高のライバルであったと言えます。
アメリカ代表で同じユニフォームを着たり、オールスターでそれぞれのカンファレンスを代表して対決するなどコービー選手とレブロン選手はずっとNBAのトップで戦ってきました。
兄弟の様な存在の2人の直接対決や、オールスターでのマッチアップはNBAを盛り上げました。しかし、2016年にファンに惜しまれながらコービー選手が引退後2人のマッチアップは見られなくなってしまいました。
コービー選手がマイケル・ジョーダン選手を追いかけた様に、レブロン選手にとっての目標はコービー選手であったといえます。そんなコービー選手が残した偉大な記録、NBA歴代得点3位33,363得点までわずか18得点に迫ったレブロン選手は1月26日に行われた76ers戦で偉業を達成いたしました。
レイカーズ vs 76ers
スターティング ラインナップ
ロサンゼルス・レイカーズ
- エイブリー・ブラッドリー(G)
- ダニー・グリーン(G)
- レブロン・ジェームズ(F)
- アンソニー・デイビス(F)
- ドワイト・ハワード(C)
フィラデルフィア・76ers
- ベン・シモンズ(G)
- シェイク・ミルトン(G)
- マティース・サイブル(F)
- トバイアス・ハリス(F)
- アル・ホーフォード(C)
試合内容+ハイライト
76ersは得点とインサイドの鍵を握るエンビード選手が怪我のために欠場。レイカーズはAD(アンソニー・デイビス選手)とロンド選手が怪我から復帰して万全の状態でイースタン上位76ersのホームに乗り込みました。
ウェスタンの首位を独走するレイカーズ優勢で進むと思われた試合でしたが、前半は76ers注目ベン・シモンズ選手の活躍で拮抗した試合になりました。スティールでレイカーズのオフェンスを阻んだり、強烈なダンクをハワード選手の上から叩き込むなどシモンズ選手の攻守による働きで76ersが徐々にリードを広げます。
レイカーズはオフェンスの組み立ては悪くない様に見えましたが、エンビード選手を欠く76ersにインサイドで多くのオフェンスリバウンドを許し、セカンドチャンスを多く与えすぎていた為に相手の得点を止める事が出来ていませんでした。前半は76ersリード50-59で折り返します。
後半に入り、レイカーズは得点差を20点まで広げられるもレブロン選手が第3Q残り7分頃であげた得点がキャリア33,364得点となりコービーの記録を抜きNBA歴代3位にランクインしました。歴代1位カリーム・アブドゥル・ジャバーの記録が38,387得点で約5,000得点の差がありますが、レブロン選手が怪我なく後2〜3年現役としてプレーできれば追い越す事も可能でしょう。
With this bucket, @KingJames moved into 3rd on the all-time SCORING list! #PhantomCam pic.twitter.com/AOsrsYDi7R
— NBA (@NBA) 2020年1月26日
その後、レイカーズはリードを許すも、ディフェンスでリズムが作れている時間帯では追い上げを見せ7点差に縮める場面もありました。しかし、この試合は76ersの大型PGシモンズ選手の凄さを見せつけられる試合になりました。
点差が縮まったタイミングでは個人技でミドルレーンを突破し強烈なダンクを見せるシーンを幾度と作っていました。ディフェンスでも試合合計4スティールを記録、ターンオーバーでレイカーズのリズムを崩す場面も多かったです。
(ハイライト)
Los Angeles Lakers vs Philadelphia 76ers Full Game Highlights | January 25, 2019-20 NBA Season
スタッツ リーダー
得点
リバウンド
アシスト
- レブロン・ジェームズ 8
- ベン・シモンズ 8
シーズン後半に向けてのレイカーズ
エンビードがいない76ersに敗退したのはかなり痛いでしょう。シーズンを首位でゴールし、PO(プレーオフ)を良いシードと高いモチベーションで望みたいレイカーズ にとって怪我人がいなくメンバーが揃っている状態の時には、確実に勝利を手にしていきたかった所です。
実際のPOに入ればノックダウン方式になり1戦1戦の重みがさらに増していきます。チームとしてはリバウンドやディフェンスといった地味な部分でもう少し頑張って欲しいと感じました。
コービー・ブライアント選手追悼
アメリカ現地時間1月26日にロサンゼルスの近郊でコービー・ブライアントと13歳の次女ジアナが乗っていたヘリコプターが墜落し合計9名の方が亡くなりました。41歳で引退後もバスケットボールのコーチ活動などを通してセカンドキャリアを歩み初めていただけに非常に残念な事故になりました。
世界を代表するスーパースターであったコービー。NBAとバスケットボール界に多くの功績を残してくれた彼の突然の死は関係者やバスケットボールファンだけでなく、多くの人にとって悲しいニュースになりました。
NBAの歴史とバスケットボール界にとってコービーはジョーダンと同じくらいすごい選手であったといえます。よく2人を比べて同じ時代に生まれていればどちらの方が凄かったのかなどと比較が多くされますが、コービーもジョーダンもNBAを代表する選手でお互いの年代で周りを圧倒できるアスリートであった事に変わりはありません。
時代はジョーダンからコービーに託され、コービーからレブロンに託されたと言ってもいいのではないでしょうか。3人ともにGOAT(Great Of All Time)、どの時代のNBAファンにとっても最高の選手であると感じます。
コービーの最後のTwitterのツイートは、
continuing to move the game forward
@KingJames. Much respect my brother #33644
(バスケットボールをこのまま進めてくれジェームズ。
兄弟に対して大きな尊敬を表明する 33664得点)
ジェームズ選手が自分の記録を更新したことに喜びを見せる投稿が、コービーの最後の投稿になってしまいました。
MambaMentality、コービーはNBAでManbaのあだなを持ちます。その努力とバスケットボールに対する真剣な姿勢が若手の育成や次世代のプレーヤーの精神面にとって大きな影響を与えました。
現役時代は、チームが負ければコービーが自分勝手にシュート打つ為に勝てないとメディアに叩かれました。引退間際では、若手に怒る姿を撮られ厳しすぎる態度が選手を萎縮させ自由にプレーできないからレイカーズは勝てないなど批判される事も多々ありました。
コービーの心の中にあったのは何か、スパーズの名将ポポビッチ監督のコメントではCopetiter(競争者),competitiveness and willing to win(競争心と勝利への執念)が周りの視線をコービーに集めた原因であり、彼を偉大なプレーヤーにしたと話していました。
“Good game, tough loss, who cares.” - Popovich
— Ballislife.com (@Ballislife) 2020年1月27日
pic.twitter.com/yw5Rfsf8QL
スパーズとレイカーズはPOで激戦を何度も演じたライバルです。ポポビッチ監督はコービーの勝利への執念に苦しめられた1人でありプレーしている彼を近くで見てその凄みを感じていたのでしょう。
実際勝利への執念が一番強いコービーは、自分に一番厳しく、練習の鬼であった事でも知られています。
若手を育成するためにもその姿勢は変わらず、激しい練習と厳しい態度で引退間際はチームを引っ張りました。
チーム内では衝突があったり、色々と議論される事もありましたが、引退後は当時のチームメイト、ハワード選手とも打ち解けて笑顔でハグするシーンがありました。NBAで3連覇した当時のチームメイト、シャキール・オニール選手とも現役の当時は練習に対する姿勢の違いなどで不仲であったと言われていましたが、引退後はお互い家族ぐるみの付き合いだった様です。
コービーが周りに強く発言したり、自分でゴールを貪欲に奪いにいったのも全て、この勝利への執念から来ているといえるでしょう。
NBAに入った後はバスケットボールの最高峰であるリーグの中で貪欲に勝利だけを求めて練習し、ファイナルチャンピオンになることだけを追い続けてプレーしていたのだと、コービーの試合を見ていつも感じます。
これが本当のアスリートの姿なのだと、勝つ事に執着し、負けている場面ではチームメイトと本気で改善するために話し合う。負ければ次の試合に勝つために必死に練習する。引退間際のコービーは本当にボロボロで毎回試合後は身体中にアイシングを当てケアしていました。
体が限界になるまで現役20年間をロサンゼルス・レイカーズ に捧げたコービーの人気はロサンゼルスではすごく、ヘリコプター墜落のニュースが流れた後すぐにレイカーズのホーム ステイプルズセンターの前に多くのファンが集まり自然と追悼式が始まっていました。
A large group of fans are in the plaza across from Staples Center to celebrate the life of Kobe Bryant. pic.twitter.com/jqUsikn2sT
— SportsCenter (@SportsCenter) 2020年1月26日
1月26日、事故同日に開催されたNBAの試合のほとんどで開始直後に選手たちがわざと24秒バイオレーションと8秒バイオレーションを犯しコービーの背番号8.24に敬意を表明しました。 (バスケ用語、ルール解説 気になるバスケ用語の意味 - Clutch Timez)
For Kobe.
— Washington Wizards (@WashWizards) 2020年1月26日
8️⃣ @ATLHawks
2️⃣4️⃣ #RepTheDistrict pic.twitter.com/DRx7S6Fucd
試合開始直後にゲームが止まりコービーの存在がバスケットボールだけではなく、より偉大な存在で選手たちにとって尊敬する人物であった事がバイオレーションで表され、どの会場からもコービーコールが鳴り響いていました。
コービーは引退後ManbaAcademyを始め、多くのNBA選手に自身のスキルやマインドをコーチングしていました。カイリー・アービング選手、ポール・ジョージ選手・クワイ・レナード選手など現在のトッププレーヤーの多くがコービーの指導を受けています。
選手たちにとっては憧れの存在であり、目標でもあり、コーチでもあった偉大な存在のコービーがなくなった事は非常に残念です。
コービーの家族にとっても毎日コートに通ってバスケットボールをしていたコービーが、引退後は家で家族の支えになっていただけに悔やまれるニュースになりました。コービーの次女ジジさん13歳でコービーの指導の元バスケットボールの才能を開花させ始めていただけに心痛まれる悲劇になってしまいました。
だがコービー・ブライアントが残してきた功績や彼のプレー、精神、ManbaMentalityは今後もバスケットボールの歴史とともにずっと残っていくでしょう。
レブロン・ジェームズ選手はコービーからバスケットボールを、託され今後もリーグのトッププレーヤーとしてNBAを一層盛り上げてくれると信じています。