八村選手がNBAトッププレーヤーに立ち向かう
NBAルーキーによるオールスター、ライジングスターズチャレンジに参加して確かな手応えと見せ場を作った八村選手。今後NBAを代表するプレーヤーになるであろう、モラント選手やザイオン選手と同じコートに立ち、その中で結果を残せた事は大きな自信につながった様に見られます。
2月13日にNBA.comから発表された新人王候補3位にもランクイン、驚きの活躍をNBAで見せています。ドラフト9位でNBAに入る事が今までの日本のバスケットボール界では信じられない事なのに、ここまでの活躍を見せてくれている八村選手の将来が楽しみで仕方ありません。
八村選手がこれからNBAで戦っていく中で、ヤニス選手の存在はずっと大きな壁になるでしょう。2019年MVPを獲得した”Greek Freek"(ギリシャの恐怖)と呼ばれるヤニス・アデトクンポ選手は2020年代を代表するバスケットボール選手になるプレーヤーとして注目を集めています。
八村選手と近いポジションで、対戦する時は間違いなくマッチアップする事になります。ヤニス選手が所属するバックスはイースタン1位、ウィザーズは9位(2月25日時点)。その2チームが2月24日(現地時間)に対決しました。
ウィザーズとしてはプレーオフ進出圏である8位になんとか順位をあげたいために残り20試合あまりを勝ち越し8位マジックを勝率で上回る必要があります。対してバックスはすでにプレーオフ進出を確実にしましたが、1位を死守してトップシードを勝ち取るためにも簡単には負けられない試合でした。
バックス vs ウィザーズ
ディフェンスが堅いバックスとオフェンス主体のウィザーズの対決でした。インサイドが強くチーム力が高いバックスが前評判では圧倒的に有利と予想されました。ウィザーズも簡単に負けられない試合なので接戦が見られる事に期待が寄せられました。
注目は八村選手とヤニス選手のマッチアップ。NBAの先輩でトップクラスのヤニス選手から八村選手が挑戦する中で学ぶことが出来れば大きな収穫になると思います。ビール選手とクリス・ミドルトン選手の得点力にも注目が集まりました。
ミドルトン選手は2020オールスターにも選ばれ、シーズン後半から徐々に調子を上げています。試合平均得点も伸びています。ビール選手もチームが勝てない中で、シーズン開幕後から得点ランキング上位5位にランクインしているほどのシュートタッチを見せており、プレーオフで試合が見たい選手の1人になります。
スターティング ラインナップ
ミルウォーキー ・バックス
- エリック・ブレッドソー(G)
- ウェスリー・マシューズ(G)
- クリス・ミドルトン(F)
- ヤニス・アデトクンポ(F)
- ロビン・ロペス(C)
ワシントン・ウィザーズ
- イシュ・スミス(G)
- ブラッドリー・ビール(G)
- イザック・ボンガ(F)
- 八村 塁(F)
- イアン・マヒンミ(C)
試合内容+ハイライト
マッチアップは予想通り、八村選手がヤニス選手にマンツーマンでディフェンスしていました。バスケファンにとっては高揚が抑えられない光景でした。八村選手は懸命にディフェンスをして味方のヘルプに助けられながら前半はヤニス選手をよく抑えていました。しかし、1on1の状況になるとやはりMVPを獲得したヤニス選手の方が上手でミドルレンジとゴール付近では得点を奪われていました。
バックスはアウトサイドのブレッドソー選手やマシューズ選手、ドンテイ選手の運動力がすごく早い展開からの得点が多かったです。
ウィザーズもネイピアー選手やビール選手のアウトサイドの攻撃で対抗していましたが、バックスの流れで試合は進みます。八村選手はディフェンスで手一杯の印象を受けました。得意のミドルレンジも決まっていなかったのは疲れから来ている様にも見えました。57−47でバックスが10点リードして後半に入ります。
後半もバックスの勢いは止まらず、首位の力強さを見せ少しずつウィザーズ を突き放します。特にミドルトン選手が後半からハンドラーとしてボールをキープしながらオフェンスの展開を作っている時はリズムよく得点が伸びて一時20点差までウィザーズを突き放しました。
ウィザーズはヤニス選手をファールトラブルに持ち込めた時間帯から少しずつ反撃に入ります。八村選手の頑張りもありヤニス選手はパーソナルファールでベンチに座っている時間帯が長かったです。
第4Qはビール選手が1人で22得点をあげ、バックスのリードを一気に縮めました。前日のブルズ戦でも53得点しているビール選手はプレーオフ進出にするたみになんとしても勝ちが欲しい気持ちが前面に出ていて、見ていてとても面白い試合でした。ビール選手は得点だけでなく、相手のディフェンスが寄ってくる場面では味方にパスを出してオフェンスのリズムを作っていました。
同点で迎えた最後の場面でゴールしたの八村選手にパスが入り勝利を決めるシュートを託されましたが、相手のセンターロペス選手にブロックショットを決められ試合は延長に突入します。試合の大一番で大事なシュートが回ってきた八村選手ですが、今後ももっとこの様な展開が増えてくると思うので決めきれるエース級に成長して欲しいと感じました。
延長では、八村選手がビール選手からのキックアウトパスを受けて3Pを決める所からウィザーズは勢いに乗りました。ビール選手の得点やネイピアー選手の得点で徐々にバックスを引き離し4点差で勝利目前でした。
最後の最後にバックスに勝負強さを見せつけられました。ミドルトン選手の土壇場での連続得点で、3点差で逆転に成功されます。ウィザーズの最後の攻撃はトロイ選手に託されましたが、惜しくも3Pを外してウィザーズがオーバータイムの末に137−134で敗れました。
八村選手は12得点、4リバウンド、2アシストの活躍でした。二桁得点できましたが、それよりもヤニス選手とミドルトン選手とマッチアップ出来たことが今後につながる良い経験になったと思います。後半からミドルトン選手にマークしている場面もありましたが、ミドルトン選手に対して八村選手のディフェンスは全く機能していませんでした。
ヤニス選手とはまだ対抗できるが、横の動きが早いミドルトン選手には手も出ない印象を受けました。八村選手のポジションなら今後、ポール・ジョージ選手やケビン・デュラント選手など身長があり横にも俊敏に動ける選手とマッチアップしていかなければならないので、良い経験になったのではないでしょうか。
(フルハイライト)
Milwaukee Bucks vs Washington Wizards Full Game Highlights | February 24, 2019-20 NBA Season
スタッツ リーダー
得点
- クリス・ミドルトン 40
- ブラッドリー・ビール 55
リバウンド
- ヤニス・アデトクンポ 14
- モリッツ・ワグナー 10
アシスト
- エリック・ブレッドソー 10
- ジャバズ・ネイピアー 7
プレーオフ進出にウィザーズが必要な勝利数
一年目の八村選手にとってプレーオフに出場できる事は、今後のキャリアにとって非常に大きな経験になります。バックスに負けた事で20勝36敗で勝率.357、残り26試合を残すのみになりました。8位マジックとの差は4.5ゲーム差です。
マジックは25勝32敗で勝率.439、残り25試合。順当にいけばマジックは10.9試合に勝利する予定になります(約11勝)。ウィザーズは少なくとも16勝しなければマジックに追いつけない計算になります。しかし、ウィザーズはまだセルティックスやヒート、ジャズ、76ers、レイカーズなど上位チームとの対決も残っています。
他のチームが負け越す事を望むよりも自力でプレーオフ進出もまだ狙えるので、これからの試合も勝利に執着して頑張って欲しいと思います。